ミネラルウォーター製造工場立ち上げガイド
初めてミネラルウォーター製造に取り組まれる方へ
近年、ミネラルウォーターの需要増や、製造システムの性能向上も後押しとなり、飲料業界外の企業様が新規事業としてミネラルウォーター製造に取り組まれる事例が見られるようになりました。
ですがインターネット上には製造工場立ち上げについての実践的な情報は乏しく、業界外の方にはわかりにくいものと思われます。
そこで、飲料製造についてなじみの無い方でもわかりやすいよう、できるだけ平易な言葉と解説を交えて、全体像及び弊社がお手伝いできる部分を中心にガイドコンテンツをご用意いたしました。
飲料の製造は面白い分野です。このコンテンツが、これからミネラルウォーター製造に取り組まれる方のお役に立てることを願っております。また、飲料製造分野にチャレンジされるお客様とお会いできる日を楽しみにしております。
- 2024/9/5
- 炭酸水製造のプロセスにも対応しました。炭酸水の場合、炭酸の溶解が追加される程度で、ほぼ同等です。
STEP 1最初にすること ~ビジネス面の整理をしましょう~
事業計画として、まずは下記から考えていくことをお勧めいたします。
お客様にて月に何本のミネラルウォーターを製造されたいですか?
まずは「月に何mlのペットボトルを何本製造したいか」考える必要があります。採水可能な水量にもよりますが、販売計画などを元にあらかじめ目安を決めておくと良いでしょう。
基本的に飲料製造システムは、1分あたりの生産能力(bpm:ボトル/分)の幅が決まっています。ミネラルウォーターの場合は一般的に130bpm~900bpm程度が目安です。
生産能力が高いシステムは当然費用も上がりますが、十分な販売が見込めるのであれば生産性の高さは収益性に直結します。
販売計画とシステムの生産能力に合わせて、工場の稼働時間を設定します。フル生産では24時間連続稼働を3交代制で行うことになりますが、販売計画と製造システムのスペックを見て、余裕を持たせてスタートするのであれば、夜間の操業を停止しても良いでしょう。
お客様にていつから販売を開始されたいですか?
飲料製造システムは受注生産品です。ご発注をいただいてから稼働開始まで約1年が目安です。
その他にもスケジュールに影響するものとして、工場の建設・必要なユーティリティー設備等の調達・人員集めなどもあります。
製品の販売開始時期は、それらを考慮したうえで定めると良いでしょう。
弊社にてお気軽にご相談ください。
計画を立てるにも、何にどの程度の費用が掛かるものなのかわからなければ困難です。構想段階でのご相談もお気軽にどうぞ。
STEP 2土地を確保する ~土地を確保し水質検査をしましょう~
お客様にて工場を建設する土地の確保
深い井戸を掘って取水できる土地
ミネラルウォーター製造のための十分な地下水を採水できる必要があります。
基本的にはミネラルウォーターとして実績のある地域が有力候補になりますが、地域によっては取水や採掘に制限がある場合があり、事前に確認が必要です。
お客様にて水質検査
検査センターなど地場の検査機関で
地下水の量だけでなく、飲料水として使用できるか水質検査を行う必要があります。
検査は、水質検査機関で行います。
厚生労働省にて登録された水質検査機関が確認できますので、地域の検査機関に打診しましょう。
検査結果はどう扱う?
検査結果を元に、最適な水処理システムを検討いたしますので、製造システムご検討時までにご用意ください。
(より早い段階での、事前のご相談も歓迎ですのでご安心ください。)
STEP 3設備の具体的検討
ここまで準備が進みましたら、ミネラルウォーター製造のための設備を具体的に検討していきましょう。
弊社にてミネラルウォーター製造工場に必要な設備の一覧
(★マークが付いたものは製造システムのコア部分です。)
設備名 | 解説 |
---|---|
★ろ過装置 | 水に含まれる異物を除去します。 |
★殺菌装置 | 紫外線やオゾンなどにより殺菌します。 |
★ブロー成形機 | ペットボトルを膨らませて成形します。 ※ペットボトルは完成品を購入するよりもプリフォームという半製品を仕入れて工場で成形する方がコストメリットがあり、お勧めです。 |
★リンサー | ボトルを洗浄します。 |
★充填機 | 自動でボトルにミネラルウォーターを充填します。 |
★キャッパー | 自動で蓋を閉めます。 |
★ラベラー | 自動でラベルをボトルに貼り付けます。 |
段ボールケーサー | 省人化に必須、ボトルを箱に自動で詰めます。 |
搬送システム | コンベアなどの場内物流システムです。 |
検査機 | 空ボトル検査機、製品ボトル検査機、ラベル検査機などがあります。 |
パレタイザー | 製造し箱詰めされたペットボトルを自動でパレットに載せる機械です。 |
自動倉庫 | 製品の保管・取り出しなどの管理を自動で行う倉庫システムです。 |
近年ではブロー成形機・充填機・キャッパーまでが1つに統合されたコンビブロックが主流です。清潔で運用しやすく、省スペースで済みます。
炭酸水の場合は上記のほかに、カーボネーター(炭酸ガスを水に溶解する装置)が必要になります。
Point
水処理システム(ろ過装置・殺菌装置など)を検討するために、前段で行っていただいた水質検査の結果をお持ちください。安全面に配慮しつつ無駄の無い最適なご提案をいたします。
お客様にて工場として必要なユーティリティー設備
製造システム以外にも工場に必要な汎用設備があります。こちらは弊社ではお取り扱いがないため、工場近くの設備工事会社などでお客様でご用意いただく必要があります。ただし、一部ご紹介可能な機器もございます。
設備名 | 解説 |
---|---|
ボイラー | 水を温め、工場の熱源として使用します。 |
コンプレッサー | 圧力を調整した空気を、その他設備に供給するための機械です。 |
キュービクル | 電圧を調整し、その他設備に供給するための機械です。 |
クーリングタワー | 工場内で生じる熱に対し、水を用いて冷却するための設備です。冷却塔とも呼びます。 |
中和槽 | 工場内で生じる排水のpHを中和する設備です。 |
STEP 4工場の建屋を用意する
お客様にて工場建設の手配をお願いいたします
工場建設のための建設会社様のご手配をお願いいたします。
弊社にて製造システム設置のための建物仕様詰めをサポート
ここまでにビジネス面の整理を経て、希望する生産能力に対応した設備が決まりました。
設備を導入するために、下記設置要件についてクリアする仕様を詰めていきます。
- レイアウト
設備を設置するのに十分な面積の確保はもちろん、スムーズな操業のための導線を考慮したレイアウトも工場の設計に取り入れます。
- 開口部
設備の納入時や稼働後の製品搬出入時などに使用するため、開口部の位置や大きさをすり合わせる必要があります。
- 設備重量
設備の重量に耐えることのできる構造が必要です。機械によっては稼働時に荷重が掛かり、スペック上の重量よりも重くなることもあるため注意が必要です。
工場の建設は、お客様から建設会社様への直接のご依頼になりますが、上記のように製造システム導入のための確認事項があるため、当社も建設会社様とやり取りを交え、サポートいたします。
STEP 5製造に必要なものを揃える
建屋・製造システム以外にも必要なものを揃えましょう。
弊社にてペットボトル製造のための材料と金型
プリフォーム
ペットボトルをブロー成形する前の原型となる材料です。
形状のデザイン
近年ではデザインの自由度が拡がっており、デザイン次第で商品訴求力の高いペットボトル製造が可能です。
ブロー金型
考案したデザインの金型を製作します。金型はブロー成形機にセットしてペットボトルを量産します。
これらのペットボトル製造に必要な資材は、当社でまとめてご提供が可能です。
プリフォームは自社グループの工場で製造しております。デザインと金型製作は一つのサービスとして当社でご提供が可能です。
包装
- ラベル資材
ペットボトルに巻くラベルの材料です。
こちらはお取り扱いがございませんが、ご紹介が可能です。
STEP 6工場を立ち上げましょう
必要なものが全て揃い次第、工場の立ち上げ準備に進みます。
弊社にて設備の搬入と据え付け
製造システムやユーティリティー設備を搬入し、設置します。工場設計時にレイアウトの決定や、開口部の確認が取れているとスムーズです。
弊社にて試運転調整、能力確認
設備や機器が問題なく作動するか、試運転調整作業を行います。
お客様にて無菌化の環境づくり
ミネラルウォーターの製造は、水処理から充填し密封するまでを無菌環境(クリーンルーム)で行うことが一般です。
クリーンルームのご準備はお客様と専門業者との直接契約になりますが、弊社のプロジェクトで実績のある業者をご紹介可能です。
弊社にて洗浄・殺菌
洗浄・殺菌を行います。
洗浄・殺菌
熱水や薬剤(酸・アルカリ性)等を用いて、製品水配管内やリンス・充填チャンバー内などの洗浄・殺菌を行います。
お客様にて殺菌後の検査
菌の混入検査を行っていただきます。
検査
一般的には製品を検体とし、培地を用いて一般細菌、真菌、大腸菌群の有無の検査を行います。
工場の操業開始!
ここまでがミネラルウォーター製造工場立ち上げまでの大まかな流れです。操業後も弊社エンジニアによるサポートやメンテナンスサービスをご用意しております。
当社では製造システムやその他設備・資材などをご提供しております。新規に工場の立ち上げをご検討の際はぜひご相談ください。
ミネラルウォーター製造システム
世界80カ国以上、
2,200以上の飲料製造システム導入実績
ミネラルウォーター製造において必要な工程を網羅しています。
製品情報