ミネラルウォーターの製造方法
最終更新日:2024.01.25飲料製造
近年、生活に身近なものとして浸透しているミネラルウォーターですが、どのような工程・設備で製造されているのでしょうか?ここでは全体像と各工程における処理・設備について平易に解説します。
ミネラルウォーターの定義について
ミネラルウォーターの定義は、農林水産省が「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」にて策定しています。このガイドラインにおける「ミネラルウォーター類」とは、地下水等のうち飲用適の水を容器に詰めたものを示します。
ミネラルウォーター類は4つの品名に分類することができ、それぞれの定義は以下です。
1ナチュラルウォーター
特定の水源(水質、水量において安定した地下水の供給が可能な単独水源)から採水された地下水を原水とし、沈殿、濾過、加熱殺菌以外の物理的・科学的処理を行わないもの。
2ナチュラルミネラルウォーター
ナチュラルウォーターのうち鉱化された地下水(天然の二酸化炭素が融解し、発泡性を有する地下水を含む)を原水としたもの。
3ミネラルウォーター
ナチュラルミネラルウォーターを原水とし、品質を安定させる目的等のためにミネラルの調整、ばっ気、複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーターの混合等が行われているもの。
4飲用水またはボトルドウォーター
ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター及びミネラルウォーター以外のもの。
参考 農林水産省/ミネラルウォーター類(容器入り飲用水)の品質表示ガイドライン
尚、この定義は日本の農林水産省の規定によるものであり、他国では定義が異なります。
以降の解説も、日本の法律に基づいた日本におけるミネラルウォーターの製造方法です。
ミネラルウォーター製造工程の全体像
採水
ミネラルウォーターの原水は、地下水です。地下水とは、地表に降った雨や雪が地中へと染み込む過程で地層によりろ過され、土壌の中のミネラル成分が溶かし込まれたもののことです。
地下水は水質検査を行い、それをもとに製造時の殺菌・除菌方法を検討します。採水は深い井戸を掘り、ポンプ等を用いて行います。
粗ろ過
ストレーナや砂ろ過などの目の粗いろ過器を用いて、原水から砂礫や浮遊物などの異物を除去します。
殺菌・除菌
水の殺菌・除菌にはいくつかの方法があります。
基準となるのは加熱殺菌で、80℃30分の加熱が定められています。この加熱殺菌と同等以上の効力があればその他の殺菌も認められており、例として120~140℃数秒の高温瞬間殺菌や、紫外線・オゾン殺菌等があります。
また除菌ろ過の場合は、腸球菌を100,000ヶ/ml添加し、完全に除去できることを実験で証明する必要があります。
その他の処理
さらに品質を安定させる目的に、ミネラルの調整、ばっ気、複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーターの混合等を行います。
この工程の有無が、「ミネラルウォーター」と「ナチュラルウォーター」「ナチュラルミネラルウォーター」の違いです。
充填
充填機を用いて、完成したミネラルウォーターをボトルに充填します。充填される容器も殺菌処理が施されています。
密封
キャッパーを用いて、ボトルに蓋をして密封します。この際に使用するキャップなども、ボトル同様殺菌処理が施されています。
ブロー成形~充填、キャップ締めまで一体化したものがコンビブロックです。
ラベル装着
「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」の一括表示事項に基づく項目を表記したラベルを、ラベラーを用いて容器に貼付します。また、ラベラーには主にロールラベラー、シュリンクラベラーの2種類があります。
製品検査
空ボトル検査機、製品ボトル検査機、ラベル検査機等を用いて、不良品の検査を行います。
箱詰め、出荷
搬送システム、段ボールケーサー、パレタイザー等により、完成した製品を段ボール箱に詰めパレタイズし、出荷します。
一般的にミネラルウォーターはこのような工程を経て製造されています。
ミネラルウォーター製造工場の新規立ち上げをお考えの際は、お気軽にご相談ください。
お問い合わせ・
ご相談はこちらから
「飲料システムについて」とお伝えいただくとスムーズです。
お気軽にお問い合わせください。